灰燼

Open App

最近は気温も高くなり半袖で外出する人も多い。
「半袖か。もう夏だなぁ。」
街を縦横無尽に縫って歩く人群を眺めながら、
気だるそうな声で女は言った。
「これさえなければなぁ。」
そう言った女の腕には無数の傷跡が咲いていた。
女の腕を見れば誰でも眉をひそめる事は明らかだった。不必要に視線を集めたくはない。
自身に咲いた傷跡を愛おしそうに眺めながら、女は逃げ惑う人々の様子を思い出していた。
「ふふ、次はどうしてやろうか。」

5/29/2024, 12:28:06 AM