たった一つの希望
今がどんなに苦しくても死んでしまえば楽になれる
それが僕の未来におけるたった一つの希望だったのに
心優しい「カミサマ」は僕を憐れんだらしく
「チカラ」と「ジカン」をくれた
魔法のように世の理を捻じ曲げてなんでもできる力
生も死も思うがままにできる力
そしてずっと続く時間
不老不死とはちがう
何度死んでもずっと僕のまま
どちらも全く必要ないというのに
「カミサマ」は微笑む
「これで貴方は幸せになれるわ」
ふざけるな
僕に必要なのは終わりなのだ
誰にも何もされていないし何も奪われてもいない
こんな力があっても僕は幸せになんてなれやしない
「カミサマ」にそう言っても不思議そうに首をかしげるだけ
何も伝わらない
いらないと言ってももう貴方のものだからとのたまう
どうやったら力を消せるのかと聞くとわからないだと
なんで喜んでくれないの?馬鹿なのか?
思わず力をカミサマにぶつけたら怒り出した
「あぶないじゃないの!」
余裕で打ち消しておいて腹が立つ
そっぽを向いている僕にカミサマは諭すように告げる
「私が消えたら全部の世界が消えてしまうの。そしたら貴方も消えてしまう、それは困るでしょう?」
なるほどいいことを聞いた
お前さえ消せば解放されるのか
ならばやることは決まった
押し付けられた力でもってこんな世界全部終わらせてやる
【神様の祝福】
3/3/2023, 2:38:43 AM