昨日はあれだけ蒸していたというのに、今夜は冷えて仕方がない。防寒着はあるが、それでも凌げるものではないのだ。このまま援けが来ないのだと、夜寒が我々に囁き、纏わりつく。
雨がさんざに降って、視界を塞ぐ。暗がりに目を凝らすと、得体の知れない生物と目が合う気がして、末恐ろしくなり、顔を伏せた。
洞の床は冷たく、気付けば尻の感覚を失くしている。身じろぎしても、痛みを思い出すだけで、改善することはない。
「雨、止みませんね。」
彼女が、私に話しかけてきた。
「ああ。だが、いずれ止むさ。」
私は、膝を強く抱えて、熱を生み出そうとした。
「寒いですね。」
彼女は、私にぴたりと体をつけた。布越しであっても仄かに暖かく、それ以上に、人の体温は私の本能を安心させる。
「ああ。だが、こうしていれば暖かいな。」
私は、彼女の肩を抱き寄せた。
梟の声がする。彼らは、この闇夜をどう捉えるのか。我々が淋しさを埋め合うように、彼らは闇夜と溶け合っている。
その視点は、私に安眠を齎した。彼女にそれを分け与えて、一夜を越した。輝かしい朝日が、我々の味方をすることを夢見ながら。
10/28/2024, 11:08:14 PM