電車もめったに止まることもない、人がいない真新しい駅ビル。その中を、ひとり駆け抜ける。
人気のないそこで響く、私だけの靴音。
あちこち迷いながら、走って、走って。
エレベーター探して回って。
ようやく見つけたエレベーターの前で足踏みをする。
誰にも見つからないように。
早く、早く。
来るまでが待ち遠しくて、もどかしくて
何度も上るボタンを押す。
ようやくやってきたエレベーターに乗り込んで、屋上を目指す。
早く行かなきゃ
追いつかれる
急がなきゃ
早く
そうして私はビルの屋上の塀を乗り越えて
誰かに助けられた
お題:ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。
5/30/2023, 2:57:45 PM