逆光
写真なんて大っ嫌いだったのに、彼は強引に私を撮ってきやがった。自分の顔は好きじゃない。映りがいつだって悪い。嫌な気分になるだけ。
それでも、彼は私を撮った。毎回変わる表情を、永遠に残すように撮った。気まずい時も辛くて悲しい時も、写真を撮る。
最後の写真は、逆光だった。
太陽が私の後ろに照らされて、顔が暗くなっている。だけど、暗さを吹き飛ばすかのような、明るさを持つ笑顔だった。私史上、いちばん、いい。
最後は、逆光の写真だった。それでよかったよ。
その瞬間に輝いて笑う私は、ずっと思い出にあるから。
1/24/2024, 11:56:53 AM