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変わらないものはない




「…またね」
真夏、炎天下で告げられた言葉。

その言葉で、目が覚めることが多くなった
小学5年生の夏、親友やったしょうが転校してしまった。
当時は、スマホなんてものは持ってなくて、
その後、一切連絡もとれんくて、
俺はこの春高校2年生になる。
あのあと、ずっと同じ土地で暮らしてる俺は
地元の、進学校に入学した。
サッカーが好きやったから、サッカー部にはいって
今ではエースをしている。
でも、やっぱりしょうがおらん日々は退屈で
人となるべく関わらんように過ごしていた。
しょうがおったら
そう考えた時に、もしまたしょうにあったとき
俺が変わりすぎて嫌われるかもしれない不安が残る
そもそも、しょうが俺のことをちゃんと覚えてるのか。
「……はぁ、会いたいなぁ」
そう呟いて、返ってきたのは
からすの鳴き声だった。
でも、そんな呟きは実現した。
「……しょうです、元々ここに住んでて、
一度東京に引っ越してまた戻ってきました。
仲良くしてくれたら嬉しいです」
しょうや、そう思った瞬間、想いが込み上げてきたのを
グッと堪えて、毅然と前を向く。
「…そうやな、じゃああの窓際の一番後ろの席行ってね
れん、学校の事教えてやってくれ。」
……さすがに、嬉しすぎるやろ
「…しょう、覚えてる、?
れん、やで、?」
「……うん、覚えてるよ。れん、また会えて嬉しいっ」
それから一日ずっと一緒におった。
まぁ、あんなに誰とも関わらんかった俺が
他人に、しかも転校生と話してる姿をみて
クラスの皆は驚いていた。
まぁ、一部の女子はイケメンとかいって騒いでたけど。
「なぁー、しょう学校案内するで着いてきてやー」
「……うん、おれもれんとたくさん話したい」
体育館、音楽室を回って教室に戻ってくる時には、
西日が傾いて、オレンジ色に染まっていた。
「……しょう、ほんとに会えて嬉しい。
もう、会えんと思ってたから…
ごめんな、しょうがおらんとなんもできんくて、
このクラスでも、誰とも仲良くできんかったんよ
変わってまったな、俺。ごめんな。」
「……ふふ、そうだね、れんはたくさん友達いたのにね笑
俺がいないとやっぱ駄目なのかな~笑
でもさ、れん。別に変わったっていいんだよ。
俺だって、変わってるよ。標準語になっちゃったし笑
この世に変わらないものはないんだから。
変わったれんも、昔のれんもずっと大好きやで
これからもよろしくな」
「……っ、しょう、話せるやんっ、
ありがとお、俺もしょうが大好きやで
ずっと一緒にいような」



こんな二人が、付き合うのはまた先の話

12/27/2023, 6:32:19 AM