後ろを見ても誰もいない。
でも、気配がする。
なんの気配?
「幽霊では」
「そういうと思った」
かつん、と音を立ててカップを置く。カフェではマナー違反とわかりつつもそうなってしまったものは仕方ない。
「他に違和感とかあるんですか」
「ふとした時に、俺こんなところにこんなの置いたっけみたいなのは」
そう、違和感みたいなのはちらほらあった。
でも1番の違和感は、
「誰かに見られてる気がすんだよなあ」
「怖いですねえ」
盛大についたため息に対し、あっけらかんと答える彼女。さぞ美味しいであろうカフェオレを笑顔で飲んでいる。
「ホラーだと屋根裏に人が住んでるってやつですよね」
「やめろよマジで……」
「生きてる方がいいですよ、警察が捕まえてくれますから」
「いいのかそれ……?」
彼女はごくんとカフェオレを飲み干すと、にっこりと笑った。
「じゃあうちに泊まりましょ!怖いなら仕方ないですよね!」
「怖いとは言ってねえ!!」
あれよあれよと彼女は泊まりに必要なアメニティグッズを揃えると手を引いた。
「バルサンも買っといた!!いるのはゴキブリかもしれないし!!」
翌日、不審者が俺の家で捕まった。
俺は即引っ越しをした。
【誰か】
10/4/2025, 9:18:59 AM