よあけ。

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︰命が燃え尽きるまで

楽しかった日の夜景は一段ときれいに思えるし、きっと今日の思い出は近い将来寂しい出来事として記憶されるんだろうし、そう思うと今の楽しいって気持ちも少しだけ愛おしいと思える。

体をじんわりと痺れさせる穏やかな痛み。幸せの痛みってものだと思う。世の中何でも等価交換だから、幸せを味わうと痛く悲しくなるものなのだ。

締め上げて食い込んだところから「楽しい」とか「嬉しい」とか「幸せ」が滲み出てくる。痛めつけて傷つかないと自覚できない。認められない。幸せも凶器みたいなもの。刺して血が出てきてから痛いと自覚できるようなもの。いたんでからでなければ幸せかどうか気にもしない。

ネガティブな感情が良くないことでポジティブな感情が良いことなんてのはイメージで、どちらの感情も良いもんじゃないし、素敵なものだと思う。どっちでも痛いんだから。

破裂するまで締め上げて、バチンと弾けさせて、全部ぶちまけてしまった方が楽だろうか。全部溶かしてしまった方が楽だろうか。

心が足りない。命がきっと足りない。

感情を消費して命を燃やしているなら、感情によって命が消耗していくなら、足りない。

命が燃え尽きる瞬間まで感じ続けなければならない。いくらあったってずっと痛い。

痛い。どんな感情でも痛い。幸せな感情のほうがずっとずっと鋭利で痛い。心が足りない。

いっそ早く素敵な思い出に変わってしまいますように。痛みも葛藤も苦しさも忘れて単なる「思い出」としてふんわりとした「寂しい」に美化されてしまいますように。たかが過去の一つになってしまいますように。

9/15/2024, 4:14:22 AM