私は弱いのに、何故アイツらと戦った?
実戦経験なんて無いのに、どうして立ち向かった?
戦ったことなんて、空想上でしかないのに。
⸺いや、理由は分かりきってる。
私の後ろに、守りたい人たちがいるから。
私の天使ちゃんと、天使ちゃんの宝石ちゃんがいるから。
「⸺さん、もう…やめてください」
「嫌だよ。私がこうしているだけで、私の”大切”が傷つかないなら。私の”生”なんて、溝に捨ててやるさ」
「そん、な……」
私と天使ちゃんが会話していることを、好機と思ったのか、敵の一体が近接攻撃を仕掛けてくる。が、敵が放った攻撃は、私が張った結界に阻まれ消失する。でも、結界は割れてしまった。やっぱり脆いな…⸺あ。
しくった…相手は一人じゃなく、二人。それを一瞬、忘れてしまった。
剣が⸺鋭い刃が、天使ちゃんの心臓を刺して、宝石ちゃんへ、次の刃を構えていた。ゆっくりと、ゆっくりと。
⸺本当、この無駄に回る頭は嫌いだ。
役に立つ時はある。さっきの結界を張ることとか、長ったらしい呪文の詠唱時とか。
でも、こういう時。
決して間に合わない終わりが迫っている時、現実を突きつけてくる、この頭が、大嫌いだ。
こんなとき……に。あの人に、頼れたら……いいのに。
「こんな時こそ、隣りに居てよ……バカ」
そんな私の呟きは、声に出てしまったらしい。なんでって、それは⸺。
「やっと見つけた。やっと俺を呼ぶ声が聞こえた。ははっ、俺がいないくせに、随分充実してたみたいだな?」
⸺バカが、私の声を聞いたと、突然現れたから。
【お前…そういうとこやぞ……】
2/16/2025, 8:47:10 AM