空模様
寂しい日に雨が降ると「ああ、空が泣いている」と人は言い、
おめでたい日に太陽が燦々と輝くと「ほら、天が祝っている」と言う。
街にもみの木が飾られる時期に雪が降ると恋人たちは身を寄せ合い、
雪が溶けてアスファルトが見えるのが当たり前な時期に雪が降ると異常気象だと首を振る。
晴れる日も曇る日も雨の日も雪の日もただそこに空があるだけなのに、人はそれに名前をつけようとする。
感情を創ろうとする。
女心と秋の空だろうが、男心と秋の空だろうが、気まぐれに移り変わるのは心だけだろうに。
空は地球が回れば変わるのだ。そういうものなのだ。
けれどその日その日の気分に空をも味方につけようとする言葉たちが好きでたまらないのだ。
だから、ああほら、今日のこの佳き日に君よ幸せであれ。
8/20/2024, 8:43:31 AM