「またいつか」
幼い頃、小児病棟に入院していた時期がある。入院期間中にある男の子と仲良くなり、暇潰しの遊びとして文通ごっこをしていた。
毎日、今日あったちょっとしたできごとや面白かったことを書いて手紙を交換しあう。
文通ごっこのおかげで入院期間は退屈せずに過ごせた。
ある日の文通で彼の手紙には『明日、手術がある。すごく嫌だなぁ。…この手術が終わったら僕は退院なんだ。でも、君に会えなくなる方がもっと嫌だよ。君も早く元気になってね。またいつか。』とあった。
翌日、彼の手術は成功した…と思ったのに手術後状態が急変してしまい、助からなかった。
本当にもう、彼に会うことはできなくなってしまった。悲しくて辛くて苦しくて一日中泣いた。
それから彼に向けて私は最後の手紙を書いた。
『私が入院していた時、退屈しないように沢山、楽しませてくれてありがとう。私だって君に会えなくなるの嫌だよ。でも、私は君の分まで生きる。またいつか、必ず会おうね。』
7/22/2025, 10:58:00 AM