Episode.28 君からのLINE
いくら待っても既読がつかない。
あの日から、もう2年が経とうとしている。
2年前の7月14日午前9時過ぎ、君は突然自ら命を絶った。
毎日起きたらおはよう、その日の事や遊びの予定を話して、寝る前にはおやすみ。
そんな当たり前なことを繰り返していた。
それが当たり前だと思っていた。
君が遺したLINE。
僕はその日、早く家を出たため丁度見れなかった。
君が命を絶った日、家に帰ってからLINEに気が付いた。
" ○○くんへ
今日もおはようって言えて嬉しいです。
そんな中僕は今日、自分で命を絶とうと思います。
理由は単純で疲れたから、耐えられなくなったから。
あのね、僕、お父さんに×××されてたの。
言ったら気持ち悪いだろうし、お父さんに殺されるかも
しれなくて、それが怖くてずっと言えなかった。
ごめんね、 ○○くんはきっとそんなことないって、大丈
夫だって信じてたけどやっぱり怖かった。
もし、僕が死んだ時警察の人に何か言われても、このこ
とは2人だけの秘密にして欲しいんだ。
○○くんと話せなくなるのは辛いけど、でも、お父さん
や他の酷いことから逃げるにはこれしか無かったんだ。
○○くんはずっと幸せでいてね。
○○くんが助けて欲しい時は助けてって、僕に助けてって
言ってね。
辛くて話聞いて欲しい時でも、危ない目に遭いそうな時
でも、いつでも絶対助けるよ。
よーし言いたいこと全部言えた気がする!
○○くん、今日まで僕と仲良くしてくれてありがとう。
今日はおやすみ言えなくてごめんね。
○○くん大好きだよ、またね "
その後、僕の家に警察官の人達が事情聴取をしに来た。
「あなたにとって、今は辛いと思いますが…もし何か知
っていることがあったら教えてくれませんか?」
「…ごめんなさい、2人だけの秘密にして欲しいんだっ
て、そう約束してしまったので…言えません…」
「……そうか、分かりました。
もし話せることがあればいつでも教えてください。」
あれから2年後の7月14日午前9時過ぎ、僕はなんとなくLINEを開いた。
まだ君のことが忘れられない、完璧に受け入れられても立ち直れてもいない。
でもあと日のように全部諦めることはやめた。
君が助けてくれるから、君は僕を最後まで信頼してくれたから。
きっと大丈夫。
僕には君が見えなくなってしまったけど、傍にいてくれているような安心感がある。
もう2度と、既読もつかない相手にLINEをした。
" おはよう、今日は休みだからカフェでまったりするよ。
もし時間があったら、君も一緒がいいな。"
一瞬苦しくなった胸は、すぐに安心へと変わった。
今日は久しぶりに、2人で出かけられるのだと分かった。
9/15/2023, 12:52:03 PM