川柳えむ

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 私達は、いつも――ではないかもしれないけど、よく一緒だった。
 中高と同じ部活で、二人で一緒に組んでいろいろなことをやっていた。
 卒業後は、たまにの連絡だけで、なかなか会えなかったけど、でも、ふとした時にどうしてるかなって考えたりしていた。
 きっと、あなたも、そう思ってくれていたって信じている。お互いに、絆を感じていたって。

 そんなあなたから、久しぶりに「会わない?」と連絡が来た。
 嬉しい。私もそろそろ顔が見たいと思っていたから。
 そうして、久しぶりにあなたに会った。
「最近どう?」
 そんな当たり障りのない話から始まって、昔の話、共通の友達の話、最近はまっているもの、いろいろなことを話した。
 あの頃に戻ったようで、楽しかった。

「――ところで」
 彼女が身を乗り出してきた。
「もっと幸せになりたいと思わない?」
 え、急に何?
 彼女がバッグから何かを取り出した。
「最近はまっているものの一つに、風水があって――」
 突然、百八十度の話題転換。
 バッグから取り出したのは様々なアクセサリーや宝石、そしてパンフレット。
「この先生がすごく素晴らしい人で、その方が運気を流し込んでくださったのがこのアクセサリーで――」

 私はあなたに絆を感じていた。
 あなたも私に絆を感じてくれていた。そう思っていた。
 でも、その絆は、思い込みだったのか。そのナントカ先生に簡単に負けてしまうくらいの、本当は脆い絆だったらしい。


『絆』

3/6/2024, 10:40:41 PM