雨音水(あまねすい)

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 BGMを聴くと想像力が掻き立てられる。けれど歌詞付きの曲でなければ、魂が震えるような感覚を味わえない。これは、言葉には魂が宿るという定型句の的を射ている好例だ。
 では、詩や小説のように、言葉だけが並べられた媒体はどうだろう。感心することはあれど、総毛立つ頻度は、先の例と比較すると大幅に減少するのではないのだろうか。少なくとも、私はそうだ。詩の表現には感心するだけで、小説の場合、どちらかというと物語の流れのほうに目がいく。表現の粗が気になったとて、全体像に納得できればそれで満足なのである。
 しかし、しばしば物語の中に登場する手紙にはめっぽう弱い。自分が受け取ったものとして感情移入しやすいからだ。物語にはメッセージ性があると言われているけれど、その小道具として仕込まれた手紙からのほうがより強い想いを感じられる。これこそ、物語の中に隠された手紙《メッセージ》を受け取っているという証に他ならないのではないのだろうか。手書きのものが採用されていた場合、柄にもなく号泣してしまうだろう。

2/2/2025, 7:54:17 PM