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「私とあなたじゃ住む世界が違う 第五十三話」

「さーて、夜になったわネ」
仕事を終えた管理人は、辺りを見渡していました。
「…誰も居ないわネ。あの小娘が植木を荒らして無いと良いけど」
管理人は、周りを見渡しながら外に出ました。
「注文していた宝石が届いているはず。行かなくっちゃ」
管理人は、周りを気にしながらマンションの外へ出ました。
「パライバトルマリンって、素敵な水の色って言うみたいよねェ?本当かしら?楽しみねェ〜」
管理人は、颯爽と夜の道を走っていました。
「早くバイヤーさんの所へ行かなくっちゃ!えーと、ケブバガミって会社よね…?」
管理人は、頼んでいた宝石を受け取りに行く為、ケブバガミの信者の所へ急いで向かいました。

「…管理人、行ったみたい」
「後を追うぞ」
志那達は、管理人を追跡し始めました。
「年配の女性の割には、走るスピードが速いな…」
「ロード、頑張れ」
「ありがとう。キトンは猫だから、持久走は苦手か?」
ロードは、背中に乗っている猫の姿のキトンに言いました。
「うん、猫だから」
志那達は走っていると、走って来るシリウスとぶつかりそうになりました。
「うわぁー!ビックリしたやん!君達、何なん?こんな時間に大勢で…」
「お巡りさん、うちのマンションの管理人が外に出歩いて行ってしまいました。高齢の方なので、徘徊じゃないかと心配です」
ピエロは、シリウスに事の経緯を説明しました。
「その方って、諏訪井トキヨって名前?」
「お巡りさん、そうです」
「俺、シリウス言うんやけど、諏訪井トキヨって人、物凄く宝石買い込んで無かった?」
「いつも、沢山の宝石を身に着けてましたわ」
アメジストと梨々華は、シリウスの質問に答えていました。
「諏訪井トキヨは、ケブバガミの信者から宝石を買い込んでいるって情報が入って来て、多分、諏訪井は信者に会いに行ったかも知れへん」
「ケブバガミか…三次元国にも居るって事は、かなり大きな組織だね」
アンバーは、ケブバガミは世界中に蔓延っているんだなと難しい顔をしました。
「三次元国に緊急に配属になったからなぁ…アンタら、見た所2.5次元国から来たっぽいけど、今、三次元国は…」
シリウスは話していると、誰かと話している管理人の姿を見つけました。
「居った!」

「バイヤーさーん!コッチですよー!」
「諏訪井様、そんなに大声出されては誰かに見つかりますよ?」
管理人は、ケブバガミの信者と話し始めました。
「アラ、ごめんなさいね。パライバが手に入ったって言うから、つい興奮しちゃって」
「諏訪井様、今回のパライバトルマリンは一級品ですよ?手に入れるのにかなり苦労しましたが、あなたの様なお得意様の為に我々は頑張っていますからね」
「早く、見せて…!」
管理人は、目を輝かせていました。
「諏訪井様、コレがパライバトルマリンです」
ケブバガミの信者がジュラルミンケースを開けると、全長5cm位のパライバトルマリンが入っていました。
「まぁ!美しいわネ…」
管理人は、パライバトルマリンを手に取ろうとした時に
「おばあちゃん!ソレ、危険物や!」
と、間一髪で管理人が宝石に触ろうとした所を止めました。

「な、何よ!危険物って…」
宝石は、シリウスの銃弾を当てると黒く溶けてしまいました。
「まぁ…せっかくのパライバトルマリンが…!」
「この銃弾は人に当たっても大丈夫やで。極地の呪いの物なら黒く溶けてまうけどな」
管理人は、呆然として泣き崩れ、怒り狂い始めました。
「ちょっと!何してくれるの?!私がコレを買うのにどんだけお金の工面頑張ったと思うのよー!」
「…お金の工面って、ひょっとして違法的な方法で?」
スモークの表情が変わりました。それと同時に、管理人が改心しない事を一同は悟りました。

11/19/2022, 10:32:38 AM