負けない

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 星空、といえば2015年の片田舎のキャンプ場で見上げたあの、空。横には父がいたし、小さく他人の話し声が聞こえたけれど、確かにあの場所にはわたししかいなかった。わたしだけの空だった。真ん中で大きく煌めくあの星も、端で囁く小さな星も、このままわたしと同じになってしまいそうなほどどこまでも青い空も、ぜんぶまとめて、わたしのものだった。
 あの、わたしと世界の境目がなくなるような瞬間を、忘れない。わたしの人生でいくつかしかない、わたしが、世界になった瞬間。星空がわたしで、わたしは星空だった。これは、ほんとう。

7/5/2024, 11:56:09 AM