みちくさをくうのが好きだった。真っ直ぐに歩けない子供だった。黒猫に金色の指輪をもらった時もそうだ。
蝶々がひらりと通り過ぎた。自然と蝶々の後を目が追う。手に止まって欲しくて、散々追いかけた。
突然胸から腹にかけて何かがっしりしたものが巻き付いてきた。気づけばそれは今日の担当執事の腕だ。危なかったですね、と彼は言う。もう少しで段差に躓いていたかもしれない。感謝を伝えて周りを見渡すと、蝶々はいなくなっていた。
もし躓いてでも蝶々を追っていたら、見失わなかったかもしれない。もし指輪を嵌めなければ彼らに会わなかったかもしれない。
後悔や喜びは大してないけれど、ふと思うことがある。
岐路について
6/8/2023, 10:16:30 AM