多田野一人

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春恋 
春になると、何となく新しい出逢いがあるような気がする…毎年、そう稀い乍、桜の並木に通っていた… 
でも、そんな奇跡には関わる事なく、今年も春を迎えた…薄紅色の花びらが、ちらほら出始めて、やがて春の景色を凌駕し始めたのに、矢張り特別な出逢いもなく、寂寥に浸り始めた…
やがて、春風にさくらが散り始めて、諦め掛けた時、あなたに出逢えた…桜の花びらが舞い落ちるこの道で、長い黒髪を靡かせるあなたに、ひと目で恋した…
艷やかな黒髪と薄紅色の春の舞、桜のトンネルから覗く、柔らかな陽射しの青空…
物憂げで儚い瞳のあなたを見つけた時、運命だと直感して…あなたに、この淡く儚い想いを、この桜並木から桜花がなくなる前に、伝えたい…

4/15/2025, 2:19:02 PM