じゃあここで、と君が立ち止まる。
「あさってね」とか「また来週ね」とか、いつも手を振り合う場所で。
続く言葉が切り出せなくて。
次に会う時を決めてから別れていたんだと初めて気づいた。
風のやんだ駅前で上げかけた手を止めて、君がこちらを振り仰ぐ。
「またね」
ぎこちなく振られた指先は、あまりにも綺麗で。
縁が巡れば会えるといいねなんて、甘い意味では決してなく。
これきりにしようという合図だと、不思議なくらい分かったんだ。
どうしようもなく鈍すぎた僕にも。
『またね』
8/7/2025, 4:54:26 AM