窓から見える外の景色は今日も変わらない。
人々は忙しなく行き交い、その隣を遠慮なく車が走り抜ける。
二度と会うことのできないあの人もこうやって東京の道を歩いていたのだろうか。
店員が持ってきた珈琲の香りが程よく鼻腔をくすぐる。
一度で良いから二人で顔を突き合せて珈琲を飲みたかったな。
先に行くなんてずるい、私もきっと追い掛けるからね。
旅立ちの日にぴったりなジャズのBGMが今はとても嬉しい。
忘れるなんて、そんなこと絶対にさせるものか。
誰かの記憶に強烈に刻みつけてやる。
それが私の最初で最期の復讐。
10/17/2024, 10:13:42 PM