→父
幸田文の父である幸田露伴は、文の行った家事にたびたび不備を見つけ、家事の終わりには「あとみよそわか」と唱えて、もう一度あたりを見回しなさい、と教えた。こんなエピソードが幸田文の随筆「父、こんなこと」に描かれている。
ところで、私の父は仕事人間であり、自分重視の人でもあったので、彼との思い出はあまりない。しかし一度だけ、彼の言葉で印象的だったものがある。夏の日、半袖から覗く女性の肘を見て、父は言った。
「お父さんな、女の人の肘が黒かったら、ちょっと悲しくなんねん」
アレは一体、なんだったんだろう?? 未だに謎であるが、何となく私は風呂場で肘を念入りに洗うようになった。
これも一つの「あとみよそわか」か。
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7/25/2025, 2:18:54 PM