スキマ

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夜でも明るいこの街で生活するようになってずいぶんと経つ。
流れ星に願いを祈ったことはあっただろうか?
そんな疑問がぼんやりと薄明るい夜空に眺めるともなく目を向けていたときに、ふと頭をよぎった。

雪国に生まれ、年がら年中、自然に囲まれて生活していたあの頃。
市内を一望できる展望台まで父とケンカして家出した母を探した幼少期。
友だちと真夜中に抜け出して、しんと静まり返った道端に寝転びながら夜空を見上げた思春期。

数えきれない夜があって、いつだって見上げれば零れ落ちんばかりの星が瞬いていた。けれど、星に願いを込めたことは一度もない気がする。
私にとって星はそっと寄り添って見守っていてくれる存在だったんだな、と今になって思う。

きっと他の誰かの願いを叶えるので忙しいだろうから、私の頭上でくらいはゆっくり呼吸をするように命を燃やすように輝いていてくれたらいい。

           ―――流れ星に願いを―――

4/25/2024, 12:22:32 PM