G14(3日に一度更新)

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144.『お金より大事なもの』『過ぎ去った日々』『愛と平和』


「世界一大事な物?
 やっぱ金でしよ!」
 言い切って、すぐに『しまった』と後悔する。
 何気ない雑談で、口をついて出てしまった言葉。
 けれど過ぎ去った日々が戻らないように、言ってしまった言葉はもう取り消せない。
 私の言葉を聞いた人々は、空いた口が塞がらなないとばかりに、私を見つめていた。

 どうしてこうなった。
 選ばれたセレブだけが集まるパーティで、カクテルをくゆらすだけの簡単なお仕事だったのに、まさかこんな下品な発言をしてしまうなんて……
 他に人が『家族』や『平和』と言っている中、私だけが『金』と答える。

 その場にいた全員は、非難めいた目線で私を見る。
 なんとか取り繕う必要があると思ったが、何も頭に思い浮かばない。
 どうしよう……
 あわあわと慌てていると、見かねたのか初老の男性が一歩前に出た。

「『お金が大事』、良いではありませんか。
 お金があれば、たいていの事は出来ますからな。
 ミズキさんは苦労されていますから、なおさらそう思うのでしょう」
 こんな小娘の発言なんて一笑に付せばいいのに、穏やかな笑顔で私をフォローするご老人。
 これこそ徳というものなのだろう。
 打算なく助けてくれる人には、感謝しかない。
 心の中で、私はおじいちゃんに礼を言った。

 けれど、それに納得いかない者がいた。
 男性の孫で、10代前半少年が、険しい顔で一歩前に出た。

「お爺様、甘やかし過ぎです。
 この世界には、お金より大切なものがたくさんあります。
 コイツの場合、ただの守銭奴ですよ」
 そう言って、キッと睨みつける彼。
 親の仇を見るような鋭い目線に、私は居たたまれない気持ちになった。

 とはいえ、少年の気持ちもよくわかる。
 いくら本音とはいえ、パーティで『お金が一番』とか言い出す奴は、おかしい奴扱いされても仕方がない。
 こういう時は『愛と平和』と言うのが定番だし、私もそう言いたかった。
 けれど、少しばかり私の口が軽かったばかりに、悲劇が起こってしまった。

「彼女はこの場にふさわしくありません。
 パーティーから追い出すべきです!」
 よほど私のことが気に入らないらしい。
 鼻息を荒くしながら、自らの祖父に進言する。
 『同意が得られなければ力づくでも追い出す』。
 彼の顔には、そう書かれていた。

 けれど、ここまで言われれば、私も黙っていられない。
 確かに全ての責任は私にある。
 でも、そこまで言うことは無いじゃないか!

 誰しも失敗はある。
 それを許せるかどうかが人の器を決めると思っている。
 この少年は若いがゆえに、悪は全て撲滅せねばならぬと考えているに違いない。
 でも、それだけでは社会は成り立たない。
 私が、少しばかり教えてあげようではないか。

「あら、お金に執着することは、そんなに悪いのかしら?」
「何だって!?」
 少年は険しい表情のまま、こちらに振り向いた。
 怒りに満ちた顔をしているが、いかんせん若いので、怖いより可愛いが先に来る。

 この顔を歪ませることができると思っと……
 げへへ、少し興奮する。

「お金が無ければ何もできません。
 お金があってこそ、我々の裕福な生活が保障されているのです。
 それが分からないのですか?」
「確かに、裕福な生活にはお金が必要だ。
 でもそれが全てではありません。
 愛と平和、それが無ければお金は無価値だ!」
 何という青臭い

 豪華な食事、綺麗な服、たくさんの使用人。
 どれもがタダなどではなく、お金を支払う必要があります」
「そんな事分かつて……」
「いえ、分かっていません」
「あなたが着ている服だってそうよ。
 お金を出して買っているものなの!
 どこからか湧いて出てきたものではないわ」
 少年はたじろぐ。

「あなたは若いから分からないでしょうが、」

 「カッーーーーーート。
 撮影は中止、みんな休憩してね。
 ……瑞希ちゃん以外は」

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「瑞希ちゃ〜ん、なんで正座されられているか分かる?」
「美しすぎることが罪だから、かな?」
「そんなわけないでしょ!
 なによ、『』
 本当のことでも、言ってダメなことあるよね、」

「あと、孫役の子。
 最後の方、少し泣いてたからね。
 後で謝りなさいよ。
 ――って気持ち悪いわね。
 何よ、ニヤニヤしてさ」
「ふふふ、実はあの子、私の好みでして。
 言葉攻めして、ちょっと興奮したね」
あんた……
 ドン引きしていた

「お金より大切無ものないかもしれないけどさ。
 品性はお金じゃ買えないのよ」

3/16/2026, 1:10:55 PM