ひとりだった過去。
何をしても上手くいかなくて、みんなからもそう言われてきた。
そこから逃げ出したくて走ろうと決めた。
どんなことになるか分からない。
今の私を知らない人達の中に足を踏み入れよう。
そしてリセットするんだ。
そう決めた。
そう自分に約束した。
自分自身がひとりぼっちにならないために。
ひとりは……さみしいから。
――
あれから何年経ったかな。
私はこの街でひとりじゃなくなった。
家族のように抱きしめてくれる人達ができた。
大切にしたい仲間ができた。
「大丈夫?」
そう声をかけて手を差し伸べてくれるのは、たった一人しかいない私の最愛の人。
好きになった。
叶わないと諦めようとした。
でも、好きになってくれた。
今は彼が私の隣に居てくれる。
ねえ、小さい頃の私。
私、約束を守ったよ。
私はもう、ひとりじゃない。
おわり
三二七、遠い約束
4/8/2025, 11:04:06 AM