空鈴 ss

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目を奪われた。
彼はこの世のものとは思えないほど、静かで、高貴で、
今すぐにでも、散ってしまいそうな儚さがあった。
手を伸ばす。でもどれだけ望んでも、コイツは俺に見向きもしない。彼は獣を飼い慣らすように、
「静かに。」
そういった。そして俺から背を向け、前へと歩いていった。
「待て───。」
その声は届くことも無く、静かに夜の闇へと消えた。

手に入れたい、手に入れたい。
その一心で俺は彼を探し続けた。
でも、どれだけ探しても、残っていたのは彼の鱗粉だけだった。
会いたい、手に入れて、俺のものにしたい。
ふつふつと心の中から何かが溢れる。
それを押さえ込みながらも、俺は目を光らせていた。

手に血を染めた。
殺した。人を殺した。
彼を殺した。
彼が悪いんだ。俺に目も向けないから。
彼の顔を両手で持ち、こちらを向かせる。
まだ息はあった。
「こっちを向いてくれたね。」
「なにをっ、、。」
静かに唇を合わせる。彼の口からは血が滴っていた。
「はは。愛してるよ」
彼はもう死んだ。動かなくなった。
彼の口やら首やら腹やらからでる赤い液体は何よりも綺麗で、美しい彼の白い肌を桃色に染めていた。
俺も行こう。せっかく恋人になれたんだ。
また会おうね。僕の美しい恋人。

#美しい

またヤンデレました、、。うぅ。
明るい話増やしたいです、、。

1/16/2023, 2:58:50 PM