まろ

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あの日の景色

もう何度目だろう、心臓が波打って目の前が揺れるのは。
瞳に涙の膜が張っていた私を焦った顔をして、あなたが覗き込む。
でも、その心配そうな表情さえ大好きでたまらなかった。
自分の全てを懸けてもいいくらいに。
気づけば涙が落ちていた。
体の奥から張り詰めていた糸が切れてしまったみたいに、簡単に止めることができなかった。
でも、その涙は悲しいからじゃなかった。
自分の心がちゃんと届いたのだと。そう感じられたからだった。

それから時は過ぎ去っていくもので...
今度はあなたが私の前に立っていた。あの時と同じ景色で。
少し震える手も、声もあの時の私みたいで、愛しくてたまらなかった。
あぁ、これが恋から愛に変わる瞬間なのだろうと思った。
あの日、自分の全てを懸けて告白した私に、今度は君が全てを懸けて応えてくれる。
それがこんなにも優しく、あたたかいなんて。

私はあの日の景色を、あの時の表情を、あの瞬間の思いを
一生忘れることはない、否できないだろう。

7/8/2025, 10:48:34 AM