喜村

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 カフェで二人きり、50歳も半ばになり、初めてマッチングアプリなるものを始めた。
 今日はそこで知り合った女性と初めて対面出会うことに。
 ダメ元で行ったら、カフェの前にプロフィール画像と同じ人物がいた。本当にいた。
何がそんなに驚きかというと、年齢が30個も違うからだ。
 短くかった茶髪の髪型はスポーティーさがある。しかし服装はパステルカラーで女の子らしさがあった。
 軽く挨拶をし、カフェへと入る。
 アプリで何度かやり取りをしているはずだが、やはり対面だと物腰柔らかとはいかない。
 何か話題を、と考えても、出てきたものは
「今日は暑いですね~」
 違う、そうじゃない。
「もう明日から六月ですからね、台風も近づいてますし」
 彼女から返答はあるが、違うのだ。
「そろそろ梅雨にも入りますね~湿気多いの嫌だなぁ」
 だから、そうじゃない。天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、
「あの、オオキさん、どうして、私と会ってくれたんですか?」
 まさか、彼女の方から先陣を切ってくれた。笑えてしまった。
 そう、天気の話じゃなくて、僕の思っていたことはそれなのだ。若いのに、きちんと意見も言える子らしい。
 なんだか緊張がとけ、僕は彼女の問いに答えるのであった。



【天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、】

5/31/2023, 11:12:51 AM