【君は今】
今日見た夢の話です。実話
---------------夢---------------
私にはとても美しい友人がいた。その美しさは容姿だけに留まらず、心まで透き通っているような、そんな友人がいた。
私には優秀な友人がいた。私とは違い現実世界を確かに踏みしめて、確実に成長していくような、そんな友人がいた。
私は彼、優秀な友人に言い寄られた。そう、彼は女を見る目が絶望的に無かったのだ。
私は彼の事が大好きだったから、その場ではっきりと断る事ができなかった。だから猶予をもらった。
そして私は数日後、なんと身勝手なことか、私の美しい友人を彼に紹介した。素直で彼と同じような向上心も持ち合わせている、ちょうど出会いを欲しがっていた彼女にとっても彼は良い相手だと思ったからだ。嘘じゃない、本当に。
それ以来2人はどんどん仲良くなっていく。
美しい彼女から、彼についての話や感謝の言葉を聞く度に、心に出来た傷口を刃物でぐちゃぐちゃと抉られているようで、心地良かった。
いつも通り失敗だらけの惨めな生活の中から、美しい友人の楽しそうな姿を見つめる日々が1ヶ月ほど続いたある日の事。1個下の後輩に送ってもらった家の前で、私の逃げ場を潰すように優秀な友人の彼が待っていた。
もちろん声を掛けられる。今まで電話もLINEも全て無視していたので、少し不機嫌な様子だった。
普段明るく人間のように振舞ってみせていた後輩がいる手前、フルシカトも出来ない。だから何とか挨拶は出来たものの、結局その後彼が詰め始めたとき、私は何も言わずに逃げ出してしまった!
逃げ出した背後から、怒鳴り声が聞こえる。カス、ブス、逃げんな、クソ女、詫びろ、償え、死ね、死ね、無責任な私は背中で罵詈雑言を浴びて半泣きになりながらマンションの階段を駆け上がる。その罵声の中にはもちろん後輩の声もあった。
スマホに着信がくる、たくさんくる。おそらく美しい友人からだ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!と頭の中で何度も繰り返しながら、玄関で靴を雑に脱いでお風呂場に閉じこもる。
ふと鏡を見ると、そこには被害者のような顔をした私がいて、少し笑ってしまった。こいつは何被害者ヅラしてんだよ、と。
---------------目覚め---------------
目が覚めた。
夢の中に出てきた優秀な友人は、こちらの世界ではまだ4年ほど待ってくれるようだった
しかし夢の中に出てきた美しい友人は、こちらの世界ではもう待ってくれてはいなかった。
彼女は、私の無責任に殺された人間だった。
だから聞こえないだけで、今もどこからか私への怒りを叫んでいるかもしれない。
逆に、もう何も思っていないかもしれない。
私には、分からない。
君は今
2/27/2024, 5:42:13 AM