紗恵

Open App

「手を繋いで」

「んで、山本ちゃんとはどうなったの?」
宮田からの問いに「うーん、まあ。おいおい誘ってみようかなぁ。何て。」
と曖昧に答えた。
宮田はあきれた様な表情で「早くしないとクリスマスが終わっちまうぞ!店なんかも予約で埋まるしな。」

授業の直後に宮田から声をかけられて何だか詰め寄られる型となった。
コイツはなぜ俺を急かすのか。
悠太は「そうか、確かにみやぴーの言う通りだな。早くしないと。」
口ではそう言ったもののかなり気が重い。
いや、正直に言うと勇気がない。

中谷悠太19歳童貞、もちろん彼女いない歴19年。
そんな男が同じ学科の山本亜美さんをクリスマスデートに誘い出す何て到底無理!ヤミ金の怖いお兄さんから急に明日までに300万円用意しろと凄まれた時ぐらい無理!!な状況である。

しかし一方で山本さんとの楽しい妄想は膨らむばかりだった。
夕方から待ち合わせをして遊園地あるいは映画にいく、その後ディナーをして夜景を見に行く。
寒い事を口実に手を繋いでみる。。
景色を見ながらベンチに座っておしゃべり。。
童貞による初々しくも誠に図々しい妄想である。

今まで4人ほどの女の子を好きになって全て妄想で終わらせて来た。
山本さんも妄想で終わらせるのかリアルな恋愛に持ち込むのか悠太、今が踏ん張りどきである。

12/10/2023, 7:00:02 AM