夕暮れの教室。吹き込む風がカーテンとあなたの髪を揺らす。
二人きりの勉強会、他愛ないお喋りと質問、ペンの音。外から聞こえるからすの声。
夢か物語みたいな光景の合間に、あなたはこっそりとわたしに打ち明けてくれる。
なんだか最近ものがよく無くなるんだって。
どこかから見られている気がするんだって。
ひとりのはずの帰り道、足音がひとつ多いんだって。
怖がる顔をするあなたに笑ってしまいそうになって、わたしは頬の内側を噛んで堪えた。
わたしには解けない問題だって解けてしまう、クラスの誰より賢いあなた。
なのに誰が部屋にカメラを仕掛けたかはわからないんだね。
3/22/2023, 10:33:19 AM