徒花

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「日の出」
*話が少し重いです。お気をつけください。
そして尺が気持ち長めかもしれません。
最後の部分は1部省きました
また独自の解釈を含んでいます。
実話かはご想像にお任せします。


真っ暗の世界にいた。

夜が永遠と続いているような感覚に襲われるそこにいると酷く静かで寂しくて、心が苦しくなる。

光が差し込まないそこに居ると心だけでなく体までも沈んでいく

真っ暗なそこは自分が何処を進んでいるかも、どこに向かっているかも分からない。

恐怖が体を侵食していく。

孤独と恐怖と寂しさで埋め尽くされていく心身は
もうとっくに限界を迎えていたのかもしれない

ただ光がないと言うだけでこんなに違うのか。そう実感させられた。

道標があっても、目的地があっても、それが目視出来なければ意味が無い。

迷子になっては意味が無いのだ。

道標や目的地が暗闇で覆われている限り、一生たどり着けないだろう。

暗闇は少しずつ私を蝕んでいく。

知らないうちに、奥の方まで侵食していく。

闇は簡単には離してはくれない、1度踏み入れてしまえば中々抜け出すことは出来ない。

そう光が差さない限りは。

光は心を暖かくするだけでない。

視界を広げる。

見えなかったものを目視できるようになる。

今までどんなにちっぽけな世界を見ていたんだと思わせられる。

手元すらまともに見えなかった。

いや見ていなかったのだ。

実際、太陽は何度も登っていた。

でも、光は心までは照らしてくれなかった。

何故なら光から背を向けていたから。

暗い方へ、暗い方へと無意識のうちに走っていたから。

不安、恐怖、寂しさ、悲しさ、切なさ、孤独感、
色々な負の感情が私を蝕んでいたから。

光に気づけないほど、私は追い込まれていた。

助けは差し伸べられていたのに。

それも見えぬほど、分からぬほど、自分で自分を追い詰めていった。

毎日の苦しさから、辛さから、逃げたい一心だった。

他のことを考える余裕なんてなかった。

なんとかしたくて、少しでも紛らわせたくて

私は自分で自分を傷つけた。

そうすると少しだけ心のモヤモヤやストレスが
発散できた気がした。

今考えれば恐ろしい話だが当時の私には唯一の発散方法だった。

しかし、発散してもすぐに溜まって、段々と増えていく負の感情に伴い、動いてしまう手を諌める事は出来なかった。

不思議と痛みは感じなかった。

むしろ思う存分やった方が落ち着けた。

そうとう麻痺していたのかもしれない。

ただひたすら抑えきれない感情を自分にぶつけた。

他の人に向ける訳にもいかず、話す訳にもいかず、1人で抱えて溢れる気持ちを自分にぶつけるしか思いつかなかった。

それから増えていく、痕を隠すことに苦労した。

段々と広がるそこ。

言うことの出来なかった理由。

言えるわけなかった。心配させたくなかった。

私のせいで誰かが傷つくことは自分が傷つくよりもずっと辛いから。

自分だって辛い思いはしたくない。
痛いのも、苦しいのも、辛いのも、嫌なんだよ。

でも、自分のせいで他人を苦しめるなんてもっと嫌なんだよ。
例えその場に誰もいなくても、他人を貶めたり、傷つけたりする誹謗中傷を考えること自体、嫌だった。
別になんと思われようと、言われようと構わない。その気持ちだけは曲げられない。そんな気持ちで居た。
それが知らない人でも、いじめてくる人でも、苦手な人でも、どんな人でも気持ちは変わらない。

だから、自分に向けるしかなかったし、言うことも出来なかった。

だから1人暗い世界に閉じこもった。

自分から光に背を向けた。

もう全てを諦めようと思った。

その時、真っ暗なはずのそこに光が差した。

私が無意識のうちに作り出した壁を破ってその人は現れた。

眩しい程の光が差し込んで、久しぶりに感じる光は目も開けられぬほど眩しかった。

長い長い夜が開けたのだと思った。

壁を破って入ってきたその人はまるで太陽のようで、長い夜があけたことを知らせる朝日の様に眩しく光って見えた。

1/3/2023, 4:00:21 PM