蝶の羽をもいだら、その体躯を見て蝶だとわかる人はいるのだろうか。仮にあの羽をもがれてなお死ねないのであれば、蝶にとって屈辱的なのだろうか。羽がないと蝶なのか蛾なのかも分からない。そんなことを思いながら標本を作っている。
幼い頃、蝶を捕まえようと必死に網を振った。ひらひらと飛び回る蝶より、葉に止まっている蝶の方が捕まえるのに緊張する。葉で休む蝶が飛びたとうと羽を揺らす瞬間をじっと狙っていた。その瞬間がついに来たとき、先走る興奮から網に入るか、入らないかの所で勢いよく振り下ろした。網を見に行くと、不幸にも枠に潰れた蝶の足がぴくりと動くのが目に入った。
以来、生きている蝶は少し苦手だ。そんなことを思いながら綺麗な羽を壊さぬようゆっくりとピンをさした。
10/26/2025, 2:01:04 AM