手のひらの宇宙
「…………尾上君、それは一体何を…」
「ゲーム」
「携帯電話ですわよね…?」
「スマホな」
「携帯電話・スマホ…」
「今やってんのは蛸嶋くんから友達紹介で始めた…はじめさせられた?やつ。興味あるかんじ?」
「うさぎさん、かわいいですわね」
「これは『ミミナガーイ・アシミジカーイ』、『マルミミモケモケ』の進化系。こいつが進化すると『ソラトベール・ツチモグール』」
「今なんて言いましたの」
「その次が最終進化形態『ソラカケール・カミヲモコロース』」
「何がどうなって何になるっていいましたのいま」
「俺は『オヨゲール・メチャハヤーイ』が好きで育ててるところ」
「……スマホで生き物を…」
「やる?」
「…………以前、おそらく似たゲームを勧められたことがありまして。私は上手く世話が出来ずに死なせてしまいましたの。なので慎んで遠慮させていただきますわね」
「好きそうだけどなこういうの」
「好きですわよ、画面越しなら怖がられる事もありませんし。その分死なせてしまったことが申し訳なく。」
「仕方ねぇな」
「ええ」
後日、お嬢の元に宅急便で『ミミナガーイ・アシミジカーイ』のぬいぐるみが届いた。とりあえずこのアプリだと生き物は死なないからやってみないかと言ってみるかなぁと考え中。
ゲームの中なら、幻獣だって神獣だって手のひらの上に。
1/18/2025, 11:00:58 AM