せつか

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雨上がりに草の先につく玉の露。
凍てついた冬の夜空に輝く星。
ビル街の片隅で弱々しく明滅する電球。
かさついて荒れた指先に丁寧に塗られたネイル。
天敵から逃れようと必死に花の中に潜る虫の羽根。
小さな子供が大事そうに抱えた人形の、プラスチックで作られた丸い瞳。
幼い子供に自分の食事を分け与える母の綻んだ唇。

そういったものを見つけられる人なのだろう。
そんな些細な、小さなきらめきを見つけられる人だから、誰もが惹き付けられるのだ。

恋なのか、愛なのか。それにどんな名前をつけるのが正解なのか、それは誰にも分からないけれど。
小さなきらめきを見つけられる彼だから、見つけてくれる彼だから、彼自身もまた美しく輝いて見えるのだ。

そんな彼の背中を見つめて、私はそのきらめきの眩さに俯くことしか出来なくなるのだ。

END


「きらめき」

9/4/2024, 11:45:32 AM