ふるとり みさ

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『赤い糸』#2

結ばれていたと、結んだと、思っていた。
君はどんなときでも飄々としていて掴みどころがなくてどこまでも優しい子だった。
最期だっていつも通りに笑っていたね。病気なんて嘘みたいだった。糸は簡単に切れてしまう。ベッドの上で最期を迎えた君が起きてくれないかと何度叫んだだろう。叶わないのならやることはただひとつ。君の遺言の通りになるように。
『来世はお前と家族になれたらいいな』
そう言って縋るように笑う君の願いが叶うように。
だから赤い縄でそれぞれの足を結んで、マッチについた小さな炎を放った。

ねぇ、知ってる?赤い糸を束ねて縄にして、好き合う二人の足を結んでおくとずっと一緒に居られるらしいよ。

6/30/2023, 10:49:52 AM