規範に縛られた軟弱根性無し

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共依存って楽しいよね?
相手が自分の思った通りに、時には予想を越えて私を求めてくれる。
弱みって都合がいいよね?

どす黒く曇った昼下がり。人がゴロゴロいる駅前で彼女を待つ。
「ひ〜ぐ〜ち〜く〜〜ん‼︎」
「うぁあ!」
勢いよく駅から出てきた彼女にバックハグされて、思わず大きな声を上げてしまった。周りからは「何やってんだ」の目を向けられる。
「そんなに驚かなくても…」
ちっこい顔、茶髪でショート、控えめのゴスロリ。全人類が癒されてる猫なんかよりも断然かわいい。そんな彼女がいてとても幸せ。今日もそんなことを考えて笑みがもれる。
「ごめんごめん。とりあえず…行こっか」
彼女は満点の笑顔で頷く。

2人でショッピングモールをぶらつく。服を見たり、オシャレな雑貨を見て同棲した時のことを妄想したり。よくある楽しいデートをした。
「こういうの玄関に置いたらオシャレじゃない?」
「そうだなぁ、僕はこっちの色が好きかな」
「確かに!そっちの方がかわいい!」
どこからともなく「ユウト!」という女性の声が聞こえた。迷子の息子を探すような声で。
声を聞いた瞬間、僕に流れる血が止まる感覚に襲われた。呼吸と鼓動が荒くなる。全身がとてつもなく重くなったように感じ、指先をピクリとも動かせなくなった。
「ひぐち君?」
記憶がフラッシュバックする。ユウトと呼ばれて怒鳴られる。ユウトと呼ばれて殴られる。洗濯機に押し込められ、暗闇で泣きわめく。階段から突き落とされ、「泣くな!」と無茶を言われる。
「ひぐち君!」
「はぁあ!」
隣を見ると、彼女が泣きそうな目で心配してくれていた。
「大丈夫?落ち着いた?」
「…あ、あぁ」
先ほどの声主は無事に息子を見つけて、安堵している。
「帰ろ?辛いでしょ?」
「だ、大丈夫。少し休めば…大丈夫だから」
「じゃあとりあえずカフェにでも入ろ?」

僕の名前は「ひぐちユウト」。ごくごく普通な男だが、子供時代は親からの暴言暴力が酷かった。なので今でも自分の名前が耳に入ると過去がフラッシュバックして先ほどのらようなことになってしまう。
人混みはずっと避けて生活してきた。自分の名前を聞く確率が低いはずだから。なので最近は症状は出なかった。だから油断した。彼女とのデートで舞い上がっていたのだ。
「ふぅ…」
カフェオレを飲みながら、彼女との楽しい思い出に浸って落ち着かせる。
「あんまり無理しないでね?やっぱりダメなら帰ってもいいよ?デートなんてまたできるしね」
「うん、ありがとう。でももう大丈夫!心配かけたね」
「なら…いいけど」
その日のデートは、結局予定よりかなり早く終わった。


こないだのデートでひぐち君が疲れてしまったので、今回は私の家に誘った。家なら2人っきりだし。何も問題ない。
ピンポーンとインターホンが鳴って、彼を迎え入れた。
「お、お邪魔…します」
「初めて来るからってそんなに緊張しなくても。ガチガチじゃん」
やっぱりひぐち君はかわいい。大好き。でも一番かわいいのは、呼吸が荒い時。可哀想なのに愛嬌を感じる。
「来てもらったばっかりで悪いんたまけどさぁ」
「な、何?」
「もう我慢できないや。ベッド来て?」
「へ?」
力強く彼を引っ張って案内し、強引にベッドに押し倒して馬乗りになる。
「ちょ、ちょっと…マキさん?」
目がぐるぐるしている彼にキスした。濃厚に、彼の口の中を私の舌と唾液で満たす様に。
「はぁ…、ふへへへ…」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
ユウト君の顔面が燃えている。こんな程度で……かわいい。
そっと彼の耳元で囁く。
「ユウト君」
燃えていた顔が一瞬にして真っ青になった。呼吸も荒くて、大きくて速い鼓動がよく聞こえてくる。
「あははっ!かわいい!かわいいよユウト君!もっともっと!」
「あぁあ!た、たすけて…」
泣きながら、心細さを出して私を求めてくれる。
「忘れちゃえ…そんなの。私だけを考えて?」
「マ…キ、マキィ…」
「泣いちゃったね?私好きだよ?ユウト君のその顔」
涙を舐め取ってあげた。おいしい!
「私だけを考えて?ね?できる?」
ポケットからカッターを取り出して、刃をいっぱいに出した。
「や…やだ、やめて…」
「安心して?」
自分の手のひらの真ん中をブッ刺した。血がドバドバ出てくる。
「マキ!だ、ダメ!そんな…」
「飲んで?おいしいよ?」
「マキ…マキ!」
「あぁ!口移しがいいのか!そっかぁ!」
傷口を舐めて血を絡めとる。そのまま彼の口に舌を突っ込む。
私の血と唾液と、彼の唾液が混ざり合って…はぁ、はぁ…。
「おいしいね?ユウト君?」
「はぁ…あぁぁ、はっ…あぁ」
「まだぁ…アクセントが欲しいぃ!ごめんねぇ?ユウト君」
ユウト君の上唇をちょっぴりかじった。それでも血は満足に出てくる。
「い、痛っ…マキ?」
「えへっ!へへへへ!」
極上の幸せを感じながら私の血と唾液、ユウト君の血と唾液を一心不乱に彼の口の中で混ぜ合わせる。
「ねぇ?はぁ…もっかいぃ、するねぇ?」
かわいくておいしくて、訳がわからなくなるまでいっぱいチューした。
「いまぁ…なんかいめぇ?」



よきかなよきかな。
休日はいいなぁ。いっぱい考えて書ける。
かなり好きな話かな

7/20/2024, 12:54:02 PM