言葉はいらない、ただ………、だけど……
「……どうした?」
彼の体は温かい。温かくて、仕草は優しくて
体中から私のことが好きだって事は伝わってくる。だけど、彼の口から「好きだよ」「愛してる」って言われた事はない。
「……ねえ、悟、お願い……っ言ってもいい?」
「お願い?うん。なに?」
こんな事言ったら、面倒くさい女だって思われる?別れてって言われる?
「……っ!何っ!どうしたの?」
「えっ?」
悟が何を焦っているのかと思ったら、原因は私だった。私が泣いていたのだ。
「ご、ごめんっ、泣いちゃうなんて思ってなくて、ごめん。」
「…………、なあに?お願いって」
悟はさっきよりも優しく問いかけてくれた。
大丈夫。私、ちゃんと伝えなくちゃ。
「……付き合ってから、悟、私に…、好き、とか愛してる、とか言ってくれない。
私の事、本当は……つ、どう…………っ」
言い終わる前に、悟に口を塞がれた。
「、…ごめんっ。俺、ちゃんと言ってなかった?何かいつも伝えた気になってた…
………主に、体で…………っうわ、何これはずっ!」
知ってたよ。ちゃんと伝わってきてたから、でも、……
「悟の声で…聞きたい………。」
悟は私の涙を拭ってくれた。
「うん。そうだな…、ちゃんと、口で伝えなくちゃな。」
「好きだよ。…愛してるよ。」
「愛してる。真琴……」
悟の声を聞いて、嘘のない言葉を聞いて、胸がキュンと一杯になったことは内緒。
私は悟の顔を手で覆って引き寄せ、私もそっとキスをする。
「私も好き、愛してる、悟」
私のお返しの言葉で、可愛くて、かっこいい笑顔を返した悟。
言葉で心が満たされる感覚を、私は改めて味わった気がした。
”大好き。悟“
8/29/2023, 10:40:19 AM