窓ガラス越し
降り止まない雨を横目に
慣れた手つきで珈琲を2杯注ぐ
前より味を感じなくなった
今日はなんだか
電気を付ける気にならない
月明かりを頼りに椅子に座る
雨
君は雨が嫌いだった
雨の日はいつも
窓際のこの椅子に座って外を眺めていた
『降り止まなかったらどうしましょう』
なんて言っていたのを思い出す
その言葉を聞く度に
「止まない雨なんてないよ」
と慰めながら珈琲を入れてあげていた
幸せだった 人生で一番
救いだった あの時間が
なのに
なのに
もし、
あの日雨が降っていたら
君は外出なんてしなかったのだろうか
ずっと
ずっとここにいてくれただろうか
『やっぱり晴れの日が一番ね!』
今更降ったって何も変わらないんだよ
僕が虚しくなるだけだ
だから
だからせめて
「今日ぐらい晴れてくれよ」
一輪の白百合が揺れる
雨はまだ降り止まない
2024/05/25【降り止まない雨】
5/25/2024, 11:27:50 AM