みんみんどり

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学生

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今日は美化委員の仕事があった。
私たちの仕事は基本的に掃除類と花壇のお世話に区分されるのだけれど、今日は早めに学校に来るやいなや花に水やりをするために私は屋上庭園に足を運んだ。

適当に水をやるのはあまり良くないらしく、葉に水を当てすぎると葉が変色したり腐食したりして大変だと委員長から話を聞いた。そういえば、先輩は美化委員になる以前から花が好きと言っていた気がする。男の先輩だけれど、割と中性的だから花壇にいる先輩はなんだか花の精みたいで儚く感じた記憶があるなぁ…

「お疲れ様、朝から」
「おっ、つかれ様です、先輩」

噂をすれば委員長さん。
なんで来たのか聞いたら「委員長だし、委員の仕事を見回ってるだけだよ」と言われた。偉いですね。

「俺も水あげちゃっていい?」
「もちろんです」

じゃああっちの方から回ってくね、と先輩は向こうの端に走っていった。優しい。私より背は高いけど、顔だけ中性的かと思えば声も割と高い。それで違和感がないのは凄いとしか言えないよね。
というか、はっきり言って先輩は一般論で言う「イケメン」であるのではないか、と今気づいた。
とんだイケメン先輩?と水やりをしているのか…と考えるとなんだかむず痒い。なぜ?

…と考えている間に水やりも終盤。私が真ん中に寄っていくにつれて、先輩も近くによってくる。普通のことだけど、なんだか少し嬉しく感じた。

「はい、じゃあこれで終わりだね」
「ありがとうございます先輩。助かりました」
「これも先輩の仕事だよ」

くすっと笑う先輩。
花に着いた水飛沫がキラキラと輝いているのに対して、先輩もなんだか輝いているように見える。

これは先輩に対する憧れの気持ちか、それとも────



20250217   【輝き】

2/17/2025, 11:01:37 AM