代理(特に何も無い学生)

Open App

「そう、ですか…」
私はその時に思い出した。
あまり女の人が男の一人暮らしの家にドカドカと入らないほうが良いってこと。
何されるか分からないから、両親には深い関係以外、気を付けろと言われている。
「榊さん。」
私がボーッと考え事をしていると、隣人さんは私の目の前にお茶を用意してくれていて、私と対面するように座っていた。
「鳥井さん…」
そして、テーブルの真ん中にあの白い箱が置かれていた。
「これ、俺からのプレゼントです。」
「えっ…」
怯える私と裏腹に、隣人さんは不気味な表情で微笑んでいる。
私は怖くて、逃げたくても逃げられなくて、喋ろうにも喋れない。
動こうにも動けない。
そんな私を見た隣人さんは私の直ぐ横に来て、私の手を取り、手のひらにプレゼントと言っていた白い箱を持たされた。
「怯えなくて良いんですよ。」
その瞬間に私の防衛本能が働いたのか、身体が勝手に隣人さんの家から出ていった。
白い箱を持たずに。

8/8/2024, 10:02:53 AM