幸せに:
幸せになど、してやるものか。
この俺がいない現実に、お前の幸せなどあってはならない。
上下関係はないが、友人でもない、恋人などと言う枠に収まる俺たちでもない。俺自身が、俺たちの関係を表せるような言葉を知らないだけなのだが。
覚えてるだろ、親と喧嘩したとぶすくれて駆け込んできたときも、テストでいい点が取れたと浮ついていたときも、お前が失恋などと言うばかばかしいことをしたときも、そばにいたのはこの俺だ。
本当に、やかましい奴だった。はじめて出会ったときも喚いていた気がする、その時は今と違って嬉々としていたが。
...ああ、黙ってくれ。すぐにまた会いに行ってやるから。そんな顔をするんじゃない。
ひたすら名前を呼ぶお前に応えるために。
俺は情けない声で、くぅん、とひとつ鳴いた。
3/31/2023, 12:44:38 PM