霜月 朔(創作)

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雪を待つ



冬の日。
空は、重い灰色の雲に覆われ、
身を切る様な北風が、
枯れ葉を巻き上げながら、
吹き抜けていきます。

ですが、貴方は、
厚手のコートを纏い、
子供の様な無邪気な瞳で、
空を見上げています。

雪を待つ、貴方の笑顔は、
冬の光のように温かく、
私には眩し過ぎて、
私は、胸に溢れる想いを押し殺し、
ただ静かに微笑む事しか出来ません。

雪を待つ、貴方と私。
私も雪を待ちます。
真白に降り積もる雪が、
罪の赤に塗れた、私の手と、
醜い黒に覆われた、私の心を、
雪の白い結晶が、
包み隠してくれるのではないか、と。

身勝手な願いを抱き、
貴方の隣に立ち、
私は、灰色の空を見上げます。

白く儚い雪が、ひらひらと、
空から舞い落ちてきます。
…私と貴方の夢を乗せて。

12/16/2024, 6:55:57 AM