浮遊レイ

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教室の窓際の席、私は中央にいる彼女を見た。
彼女はたくさんの人に囲まれ、仲睦まじくおしゃべりを楽しんでいた。
微笑むときに揺れる艶のある黒髪、長いまつ毛がやけに視界に入って鬱陶しい。
私は目をそらすように廊下側を見る。ドアから覗くよう、他クラスの男子達が彼女を見つめていた。ほんのり顔を赤く染めながらひそひそと耳打ちをしている。
彼女はいわゆる、高嶺の花と呼ばれる存在だ。
本当に彼女にぴったりである。顔、スタイルが良いのはともかく、勉強、スポーツも優秀で、性格も良いといった非の打ち所がない女の子。人気者で男子にモテるのは嫌でもわかる。
もちろん最初は妬む奴なんかもいた。だけどみな、自分と彼女との格の差とやらを思い知らされ、負の感情という名は消し去られてしまう。
私はもう一度彼女を見た。
相変わらず、可憐な花がそこに咲いている。
すると視線に気付いたのか、彼女は私の方を振わり向き、明るく手を振った。
私は手なんて振らずにすぐにそっぽを向いた。
……せめて性格は悪かったら良かったのに。
そう思い、私はうつ伏せて、窓の外を見る。
空は迷いのない澄みきった青空で私の気持ちと正反対である。
彼女の明るくて、優しい振る舞いは誰にでもしている。
でも彼女は知らないだろうな。誰にでも平等に接するその優しさで一部の人を殺していることに


題名 一輪の花に触れれない

7/19/2024, 4:06:35 PM