沈む夕日
夕暮れの。
日が隠れて完全に夜に成る直前の、紫の空が好きだ。
橙や紅の強烈な光から薄く引いて、紫苑へ、群青へ、漆黒へ。
変わっていく色彩の中で、小さな真珠を放ったように、明星が一つ。
一等綺麗な空のキャンバス。
一番よく見ていたのは、中学の時。
体育館に制服のまま胡座をかいて、友達とくだらない事を話し合った。長方形の窓から空が変わって、ポストカードみたいだと言った。
人生の中でも、一番感性が高かった頃。
現在、空をあまり見なくなった。特に夕暮れは。
あの頃の友達は、今どこにいるかもわからない。
それでも、たまに紫の空を見ると体育館の匂いがする。上履きの擦れたゴムの匂いが。
今度、空を見に行こう。
天気予報を見て、西の窓が大きなホテルに泊まろう。
完全に日が隠れてから夜の街へ行き、飲み屋で一期一会の友達に逢いに行こう。
人生の夕暮れにはまだ早い。
あの頃と同じとは言えなくとも、まだ私はくだらない話をして笑っていたい。
4/7/2026, 1:43:16 PM