『生きる意味』
瞑想してみた。海のように風になびく一面の草原に、田舎の駅の待合室のような小さな小屋があって、私はその中で椅子に腰かけている。
自分の無意味でつまらなすぎる人生の意味を知りたくて、本を読みあさって神秘の世界を調べたけど、分からずじまいだった。
死後の世界に来れば、分かるに違いない。ここで探し出せる。なにかのパンフレットがある。駅によくあるようなラックにささっている。
手にとって開いて見ようとすると、ボトッと音がして何かがパンフレットに当たり、床に落ちた。それは大きなアゲハチョウの幼虫だった。
そうとう大きい迫力ある虫で、カゲロウでもセミでも儚い羽虫は幼虫の頃がむしろ彼らの人生の最盛期のように思える。
天井あたりから落っこちて来たのだ。この出来事の意味について考え始めた。成虫とは亡霊で、生きても死んでも同じ次元に棲んでいる。
とはいえ、ただ虫が落ちてきただけかもしれない。全ての事に意味があるわけじゃない。人生も意味は無いってオチなのかも知れない。
床に落ちたパンフレットを拾い上げた。この先に海と灯台があるので、見に行けるらしい。やはり意味など考えるな。私はサナギからの脱皮に失敗した異形の蝶だ、とか、そういうこといいから。
4/27/2023, 11:50:50 AM