転がる石を追いかけた
傷だらけの足で砂利道を駆ける
小さな小屋に転がり込む
誰にも見つからない秘密基地は今日もまだそこにあった
僕と君は手をつないで震えていた
凍えるような寒さの中、君の体温だけが神様みたいだ
風が小屋を揺らしている音に慣れてきた頃
死にたいと言ったきみは泣きつかれて寝てしまった
僕はまだ泣いていた
夜が起きてしまわないように 口を塞いで泣いた
僕たちは逃げてきたんだ
何もかもを捨てて 何一つとして持たずに
この寒さの中を生きていける気はしない
でも 僕たちは逃げてきたんだ
僕たちは ようやく 人になれたと思うんだ
君の手をぎゅっと握る
その暖かさはきっと明日には消えている
大丈夫
もう、怯えなくていい もう、泣かなくていい
もう、死にたいなんて思わなくていいんだ
僕たちは人として ただの人として眠りにつく
だんだんと閉じていくまぶたに 少しだけ抵抗しながら
白い息と一緒につぶやいた
どうか、この幸せなさいごが夢じゃありませんように
8/9/2025, 9:10:31 AM