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 梅雨の時期が近づいてきましたね。

 貴女が幼かった頃、雨が降っていない日でも、貴女は傘をずるずると引きずって歩くのがお好きでした。それがどれだけ可愛らしかったか、貴女には分からないでしょう。

 今の貴女には、あのような大好きなものはあるでしょうか。晴れの日も雨の日も風の日も、毎日持ち歩きたいような、肌身離さず持っていたいようなもの。
 俺たちには分かりますよ。貴女にはそのような、心から大切にしている、何にも代え難いものがあります。貴女はそれに気づいていない。だから「自分が何に価値を置いているのか分からない」と嘆いているのです。

 教えて差し上げたくもありますが、これはきっと、貴女ご自身で気づいた方が良いことでしょう。

 大丈夫ですよ。貴女は空っぽの、何も考えていない人間などではありません。その「もの」を軸にして、貴女の中にはしっかりした一本の筋が通っているのです。

6/1/2024, 11:30:33 AM