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「沈む夕日」

 春にもなれば、帰りはもはや夜ではない。まだオレンジ色にもなる前の薄雲の空の下でバスを待つ。本当はもっと仕事をしていたいなんて思う私は稀有なアルバイターだろう。具体的にはあと1時間。たった1時間の延長で、憧れのあの人とおんなじ時間に上がることができるのだけれど、田舎の時刻表はそれを許してはくれない。

 あの人の「ありがとう」が聞けるなら、ワンオペだってどんと来いだ。たとえそれが、エリアリーダーマニュアルの例文を読み上げただけの感謝だとしても。

 店を出て夕焼けが見えるようになる季節には、忌々しい公共交通機関にさよならして、マイカーを乗り回してやる。シフトに融通が効くようになって、一緒の時間に労働から解放されて、話しかける勇気があるかどうかは、己の成長に期待しよう。

4/8/2026, 9:56:07 AM