山百合

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・6『誰にも言えない秘密』

手紙に電話番号はなく仕方なく住所を頼りに
手紙の差出人、『ヤマセ チカ』を尋ねることにした

電車で1時間ほどの元義実家の近くの住所で迷うことはなかった
チカというのは幼馴染かなにかだろうか。
そんな話は元夫から聞いたことがない
義実家宅に連絡を入れるか迷ったが
確かめる勇気がなかった。それに内容証明証が偽りだという確信もあった

この件に義実家は関与していない気がする
そもそももう他人なのだ【義】はない

山瀬の表札を確認してチャイムをならした

60代……いや70代だろうか?
背の高い瘦身の男性が玄関の扉を開けた

「はじめまして。私は岩田カヨと申します。山瀬チカさんはご在宅でしょうか」

男性は驚いた表情を一瞬見せた気がした。
が、すぐに答えた

「私です」
「えっ?」
「私が手紙を送りました」
「何ですって?」

「山瀬親信(ちかのぶ)です
貴方のダンナさんに、私は、私は、ずっと………!!」

【続く】



6/5/2024, 2:54:03 PM