宵風に吹かれたい

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「いつか」なんて無いなら、「さよなら」と素直に言って欲しかった。

転校してきて直ぐに俺含め男子生徒の心を奪った彼女。
俺の住んでいたアパートの202号室の下、102号室に引っ越してきた時は流石に運命を感じた。
それから俺は、他の男子生徒よりも彼女との距離を縮めた。
登校はたまたまを装って彼女と共にしたし、休日はゴミ捨てなどで彼女と会う機会を狙った。
そんな俺だから彼女の引っ越しにも気づけた。
転勤族だったらしく、割と早い別れだった。そんな彼女だから、わざわざ他の生徒にも伝えるつもりも無かったらしい。
だから、告白をした。誰も知らないうちに。
そしたら「またいつか、会いましょう」なんて。
遠回しに断られたなんて分かってる。でも、「いつか」なんて、無いくせに。そう、思ってしまった。

もう、彼女とは会えないんだ。そう思った途端現実味を増した「別れ」
失恋と彼女の残酷な優しさに涙を流した。

7/22/2025, 1:33:33 PM